2歳のころに虫に夢中になった息子も、今では7歳になりました。
「虫が出てくる絵本が読みたい!」という幼児期のリクエストをきっかけに、これまで数え切れないほどの虫の本を読んできました。
そのおかげで、今ではかなりの本好きに成長しています。
むしはは熱中しすぎて朝の支度が進まないほど本が大好きになり、少し困ることもあるくらいです。
大好きなものが登場する本は、それだけで「読んでみたいな」と興味を持ちます。
そのため、息子が「読んでみたい」と言った本については、「これはまだ難しいだろう」と親が制限することなく、好きなだけ与えてきました。
そのおかげか、教えていないのに多くの漢字を読めるようになり、今では大人向けの本も好んで読み、知識をどんどん広げて深めています。
今回は、
- 虫好きの小学生が楽しめる本(児童書や単行本)を探している
- 虫が好きな子の本棚にある本を知りたい
という方に向けて、わが家の虫好きな小学生が実際に読んできた本の中から、虫が登場する本をたくさん紹介したいと思います。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
幼児期に息子が読んだ虫の絵本を紹介した記事はこちら


息子の本棚にある虫図鑑はこちら







その他、幼児~低学年向けの虫に関する本を探している方は、以下の記事も参考にしてみてください。
虫の絵本はこちら
児童書のオススメはこちら
虫好きの小学生にオススメの本
ジュニア版ファーブル昆虫記(高学年~)
- 訳・解説:奥本大三郎
- 出版社:集英社
- ふりがな:△(一部)
昆虫に関する本と言えば、まず名前が挙がるのが、昔からの名作『ファーブル昆虫記』ですよね。
小学生向けにおすすめなのは、集英社から出版されている『ジュニア版ファーブル昆虫記』です。
『ジュニア版ファーブル昆虫記』は全8巻あり、ファーブルが観察してきた昆虫の生態が、小学生にもわかりやすくまとめられています。
- 1 ふしぎなスカラベ
- 2 狩りをするハチ
- 3 セミの歌のひみつ
- 4 サソリの決闘
- 5 オトシブミのゆりかご
- 6 ツチハンミョウのミステリー
- 7 アリやハエのはたらき
- 8 伝記 虫の詩人の生涯
挿し絵や解説が多く、虫が好きな子の知的好奇心を満たしてくれる1冊です。



幼児や低学年から楽しめるファーブル昆虫記については、過去の記事でくわしくまとめています。
『ジュニア版ファーブル昆虫記』にステップアップする前に、息子が実際に読んできた本を紹介していますので、「少し難しそうだな」と感じる方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。
幼児~小学生向けの『ファーブル昆虫記』についてはこちらの記事でくわしく説明しています


NHK子ども科学電話相談 昆虫スペシャル!(低学年~)
- 編者:NHK「子ども科学電話相談」制作班
- 監修:丸山 宗利・清水 聡司・久留飛 克明
- 出版社:NHK出版
- ふりがな:◯
『NHK子ども科学電話相談 昆虫スペシャル!』は、NHKラジオ第1の人気番組『子ども科学電話相談』で取り上げられた内容の中から、昆虫(クモなども含む)に関する質問と回答をまとめた本です。
丸山宗利先生、清水聡司先生、久留飛克明先生が、子どもたちの素朴な疑問に丁寧に答えています。
例えば、
- カブトムシは洗濯機で洗っても生きていられるのはなぜ?(小3)
- 巣をつくっていたジョロウグモをにがしたけど、今も元気ですか?(小2)
- 17年ゼミはどうして17年がわかるの?(5歳)
- 昆虫には心がないって聞いたんだけど、本当?(小4)
などの、他の本には載っていないような子どもならではのオリジナリティあふれる疑問が満載です。
それに対する先生方の回答は真剣かつ丁寧で、とてもわかりやすく書かれています。
やさしい言葉で書かれた会話形式で、すべての漢字にふりがながついており、挿し絵も多いため、低学年の子どもでも手に取りやすい内容になっています。
カメムシやミミズなど、嫌われがちな虫についても扱われており、多面的な見方を育てられます。
虫好きの子どもはもちろん、虫が苦手な子どもにもおすすめの一冊です。
びっくり昆虫大図鑑 (低学年~)
- 監修:須田 研司
- 出版社:高橋書店
- ふりがな:◯
『びっくり昆虫大図鑑』は、「ヘンテコな形の虫」や「特別な能力を持った虫」など、161種類のユニークでおもしろい昆虫を、大きな写真とわかりやすい解説で紹介しています。
昆虫の特徴や不思議な生態をテーマごとに整理しているほか、写真と実物サイズのシルエットも掲載されており、調べ学習にも使いやすい構成になっています。
昆虫が好きなお子さんはもちろん、これから自然に興味を持ち始める子どもにもぴったりの一冊です。
ゆるゆる昆虫図鑑(低学年~)
- まんが:さのかける
- 監修:丸山宗利
- 出版社:Gakken
- ふりがな:◯
『ゆるゆる昆虫図鑑』は、さまざまな昆虫を、かわいくて“ゆるい”イラストや四コマ漫画で紹介している図鑑です。
疲れているときでも、軽い気持ちでパラパラと読める“ゆるさ”が最大の魅力ですが、昆虫の基本的な生態や特徴についてはしっかりと解説されています。
虫の意外な性質や、思わずクスッと笑ってしまう豆知識もたくさん詰まっています。
自然や生きものへの興味を広げたい子どもはもちろん、昆虫が少し苦手な方にもおすすめの一冊です。
『ゆるゆる昆虫図鑑』については、こちらの記事でくわしく紹介しています


『ざんねんないきもの事典』シリーズ(低学年~)
- 監修:今泉忠明
- 出版社:高橋書店
- ふりがな:◯
『ざんねんないきもの事典』シリーズは、生きものたちの思わず笑ってしまう「ざんねんポイント」を切り口に、進化のふしぎや生態のおもしろさを紹介してくれる本です。
かわいらしいイラストと短いコラム形式で構成されているため、小学生でも読みやすく、理科の知識が自然と身につきます。
ただおもしろいだけでなく、「どうしてこうなったの?」「なぜこの生き物はこんな特徴があるの?」と、子どもが自ら疑問を持つきっかけにもなり、考える力や興味の幅が広がります。
「読書のきっかけがほしい」「生き物や理科に興味を持ってほしい」というご家庭に、ぜひおすすめしたいシリーズです。
本シリーズは2016年から毎年1冊のペースで刊行されており、2025年11月現在、以下の10冊が出版されています。
- おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典(2016年)
- おもしろい!進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典(2017年)
- おもしろい!進化のふしぎ 続々ざんねんないきもの事典(2018年)
- おもしろい!進化のふしぎ もっとざんねんないきもの事典(2019年)
- おもしろい!進化のふしぎ さらにざんねんないきもの事典(2020年)
- おもしろい!進化のふしぎ ますますざんねんないきもの事典(2021年)
- おもしろい!進化のふしぎ やっぱりざんねんないきもの事典(2022年)
- おもしろい!進化のふしぎ とことんざんねんないきもの事典(2023年)
- おもしろい!進化のふしぎ まだまだざんねんないきもの事典(2024年)
- 新ざんねんないきもの事典(2025年)
生き物全般について書かれた本のため、虫も掲載されています。
どの巻にどのような虫が載っているのか情報が少なく、わが家でもどれから購入するか迷ったため、参考になるようまとめてみました。



陸にいるダンゴムシやクモ、ミミズ類なども含めて、虫好きの子どもが反応しているものをざっくり「虫」としています。
購入の際の参考にしてください。
| タイトル | 掲載されている虫 ※被っている虫もありますが、内容は異なります |
| ざんねんないきもの事典 | ホタル、バイオリンムシ、スズムシ、クワガタ、シロヒトリ、ミズスマシ、ユカタンビワハゴロモ、スズメバチ、ウマノオバチ、アリジゴク、バクダンオオアリ、カゲロウ、オドリバエ、ミノムシ、イチモンジカメノコハムシ、ジュウシチネンゼミ、クロヤマアリ、モンシロチョウ、ダイコクコガネ、タガメ、カマキリ、サバクトビバッタ、クロオオアリ、アブラムシ、テントウムシ、ミツツボアリ、ミツバチ、サソリ、カメムシ、クモ、ハエ、ノミ |
| 続ざんねんないきもの事典 | ダンゴムシ、タテハチョウ、クシケアリ、シュモクバエ、カ、ナガヒラタタマムシ、チリクワガタ、ムシクソハムシ、クジャクグモ、フンバエ、ナナフシ、キサントパンスズメガ、ヤゴ、サカダチコノハナナフシ、パプアキンイロクワガタ、サソリモドキ、ハナカマキリ、ニコヤカヒメグモ |
| 続々ざんねんないきもの事典 | ダンゴムシ、クサカゲロウ、カブトムシ、アリグモ、コガタコガネグモ、ヒアリ、カ、アリジゴク、フンコロガシ、カマドウマ、ハンミョウ、ミイデラゴミムシ、(ハエトリソウ) |
| もっとざんねんないきもの事典 | プラチナコガネ、ゾウカブト、コブハサミムシ、ハイイロゴケグモ、シバンムシ、ヤマトシロアリ、オンブバッタ、オオセンチコガネ、ショウジョウバエ、アメンボ、モクメシャチホコ、コオロギ、カブトムシ |
| さらにざんねんないきもの事典 | コノハムシ、アゲハチョウ、パンダアリ、トンボ、クリサキテントウ、トノサマバッタ、アリ、ゲンジボタル、クビキリギス、タートルアント、シリキレグモ、アワフキムシ、オトシブミ、オカモトトゲエダシャク、ハチ、コツチバチ、ツチハンミョウ、バッタ、ゴキブリ、イチジクコバチ、ヒグラシ、(ヒル) |
| ますますざんねんないきもの事典 | クチブトゾウムシ、ヒトリガ、アオオビハエトリ、ヒロズアシブトウンカ、ツノゼミ、シロアリ、サハラギンアリ、セミ、ヤエヤマサソリ、ダンゴムシ、カギムシ、トラフヤママユ、カ |
| やっぱりざんねんないきもの事典 | グンタイアリ、アステカアリ、ショウリョウバッタ、スカシジャノメ、カイコ、ダンゴムシ、アブラムシ、マイマイツツハナバチ、ヒマラヤハエトリグモ、スズメバチ、フォツルス、コオイムシ、ジャイアントウェタ |
| とことんざんねんないきもの事典 | キイロオブトサソリ、ナナホシテントウ、コメツキムシ、タランチュラ、ミツバチ、トビムシ、カブトムシ、チョウ、ミミズ、クモ |
| まだまだざんねんないきもの事典 | アブラムシ、ナミバラアリ、ロクロクビオトシブミ、ヘラクレスオオカブト、ゴキブリ、オオムラサキ、オオツノコクヌストモドキ、シロアリ、ウスバキトンボ、ツマグロオオヨコバイ、ミツバチ、トゲダニ、アカシアアリ、プロノータリスエゾゼミ、オンブバッタ、ケブレヌス・レケンベルギ、カイコ、キバネツノトンボ |
| 新ざんねんないきもの事典 | ミミズ、トンボ、ナナフシモドキ、カブトムシ、セミ、ハエ、チョウ |
個々の生き物の紹介ページだけでなく、特集ページやコラムもあり、そこにも虫が登場します。
高橋書店の公式サイトでは試し読みができますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
NHK ダーウィンがきた!昆虫スゴすぎクイズ図鑑(低学年~)
- 編者:NHK「ダーウィンがきた!」番組スタッフ
- 出版社:NHK出版
- ふりがな:◯
『NHK ダーウィンがきた! 昆虫スゴすぎクイズ図鑑』は、NHKの自然・生きもの番組「ダーウィンがきた!」の迫力ある映像取材と豊富な知見をもとに作られた、学びながら楽しめる昆虫クイズ図鑑です。
写真やイラストが大きく、説明文も短くまとめられているため、本に苦手意識のある低学年の子どもでも手に取りやすく、読みやすい構成になっています。
クイズ形式なので、「答えはこれかな?」と自分なりに考えながら読み進めることができ、読解力や思考力、観察する力も自然と育ちます。
息子は「ダーウィンがきた!」を何度も繰り返し見るほどのファンですが、大人の私も知らなかったことや驚く内容が多く、大人のファンが多いのも納得です。
個人的にも、数ある子ども向け番組の中で、群を抜いて質の高い番組だと思っています。
そんな『ダーウィンがきた!』の内容をベースに、昆虫の生態やすごさをクイズ形式で学べるのが本書です。
虫が好きな子どもはもちろん、虫が少し苦手な子どもでも、クイズで遊びながら自然への興味を育てられる、おすすめの一冊です。
昆虫のクイズ図鑑 学研の図鑑LIVE(低学年~)
- 監修:東京農業大学教授 岡島秀治
- 出版社:学研プラス
- ふりがな:◯
虫が大好きなお子さんに、楽しみながら知識を広げてほしいときにぴったりなのが、『学研の図鑑LIVE 昆虫のクイズ図鑑』です。
先に紹介した『NHK ダーウィンがきた! 昆虫スゴすぎクイズ図鑑』と同様に、本書もクイズを解きながら、昆虫の知識が自然と身につく構成になっています。
親の目線で見ると、本書のいちばんの強みは「外出先にも持っていきやすいサイズ感」だと思います。
文庫本サイズで軽く、病院などでの待ち時間対策として持って行くのに便利です。
コンパクトなサイズながら、3択クイズが100問も収録されており、ちょっとした暇つぶしにぴったりです。
虫の名前を覚え始めたばかりの子どもはもちろん、昆虫博士のような子でも、意外と知らなかったことが出てきて、楽しめる内容だと思います。
外出先での暇つぶし用に気軽に持ち歩ける昆虫の本を探している方に、特におすすめの一冊です。
むし岡だいきの世界の昆虫おった!図鑑(低学年~)
- 著者:むし岡だいき(昆虫採集YouTuber)
- 監修:野村周平(国立科学博物館)
- 出版社:光文社
- ふりがな:◯
著者は、虫好きの子どもに大人気の昆虫採集YouTuber・むし岡だいきさん。
虫好きの子どもなら一度は見たことがあるのではないでしょうか?
本書は、著者が実際に見つけた身近な昆虫から世界の珍しい昆虫まで109種以上を、オールカラーの写真とともにわかりやすく紹介しています。
難しい専門用語はほとんど使われておらず、子どもが知りたい「どんなところにいるの?」「何を食べるの?」などといったポイントがわかりやすくまとめられています。
本書は、
- 採集編 — オーストラリア/インドネシア/沖縄・石垣島・西表島・与那国島/その他国内での採集で出会った昆虫
- 飼育編 — 著者の昆虫部屋/リオック・コロギス・カマキリ・ヘラクレスオオカブトの飼育方法について紹介
の2部構成になっています。
登場する虫の中には、息子も「むし岡だいき」さんのYouTubeチャンネルで何度も見て憧れていた種類が多く、ページをめくりながらとても嬉しそうにしていました。
「いつかゲットしてみたい!」「いつか飼育してみたい!」
そんな虫好きの子どもの夢がつまった1冊です。
「むし岡だいき」のYouTubeチャンネルはこちらの記事で紹介しています


『角川まんが科学シリーズ どっちが強い!?』シリーズ(低学年~)
- 出版社:株式会社KADOKAWA
- ふりがな:◯
角川まんが科学シリーズの『どっちが強い!?』は、自然界の強い生き物たちの対決を通して、その生き物の生態や行動について学べるまんがシリーズです。
シリーズの中には虫同士の対決を扱った巻もあり、2025年現在、虫が登場するタイトルとしては、以下のような作品が発売されています。
- どっちが強い!? カブトムシvsクワガタムシ
- どっちが強い!? カマキリvsサソリ
- どっちが強い!? サシハリアリvsグンタイアリ
- どっちが強い!? ハチvsクモ



公式サイトで試し読みができます
本書では登場する昆虫(生きもの)の能力の違いが、ひと目でわかりやすく描かれており、
- パワーやスピードがどのように違うのか
- 昆虫がどんな環境で生きているのか
- 武器に見える体のパーツが、実際にはどのような役割を果たしているのか
といった、子どもが疑問に思うポイントを学べる内容になっています。
漫画が中心でテンポよく読み進められるため、「本は少し苦手だけれど、虫は大好き!」という子どもにとって、読書のきっかけづくりにぴったりの一冊です。
虫への興味をさらに深めたい一方で、読書には少し苦手意識があるという子どもにおすすめです。
昆虫最強王図鑑(小4~小6)
- 監修:篠原かをり
- イラスト:児玉智則
- 出版社:学研プラス
- ふりがな:◯
『昆虫最強王図鑑』は、昆虫たちの特徴や生態を「もし戦ったらどうなるか」というユニークな視点で紹介する図鑑です。
迫力のあるイラストとわかりやすい解説で構成されており、小学生にも読みやすく、遊び感覚で自然と昆虫への興味を広げられる内容になっています。
本書の特長は、各昆虫の大きさや武器、能力を数値化し、対決形式で紹介している点です。
バトルの描写はありますが、あくまで事実にもとづいた生態解説が丁寧に添えられており、「なぜこの昆虫が強いのか」「どのような環境で生きているのか」といった学びにつながる情報も充実しています。
先に紹介した『角川まんが科学シリーズ どっちが強い!?』とは少し異なり、本書は多くの昆虫の中から勝ち抜いて1位を決める、トーナメント形式の構成になっています。
登場する虫は、クワガタやカブトムシといった王道の種類から、オオスズメバチ、アリ、サソリ類などの節足動物まで幅広く、バリエーションも豊富です。
基本的な構成は「図鑑+バトル解説」の文章中心で、漫画ではありませんが、大きなイラストが多く使われているため、ゲームをしているような感覚で読み進めることができます。
そのため、本が苦手な子どもでも入り込みやすい一冊です。
公式サイトでは対象年齢を小学4〜6年生としていますが、漢字にはすべてふりがなが付いているため、小さな文字に抵抗がなければ低学年からでも十分に楽しめると思います。
堅苦しさのない構成で、本が得意でない子どもでも楽しみながら、生きものへの理解を深められる図鑑です。
ドリトル先生シリーズ「月」3部作(中学年~)
- 著者:ヒュー・ロフティング
- 訳:河合祥一郎
- 絵:pattey
- 出版社:株式会社KADOKAWA(角川つばさ文庫)
- ふりがな:◯
ドリトル先生シリーズは、動物と話せるお医者さん・ドリトル先生が、世界中の生きものたちと冒険をくり広げる物語です。
ユーモアとやさしさにあふれ、動物好きの子どもが夢中になれる名作ファンタジーとして、長く親しまれてきました。
本シリーズは1920年(約100年前)に誕生し、現在もなお多くの子どもたちに愛されています。
生きものが大好きな息子もこのドリトル先生シリーズに夢中になり、夏休みの間に一気に読破していました。
そんなドリトル先生シリーズの中から、今回は特に昆虫好きの子どもにおすすめしたい「月」三部作をご紹介します。
ドリトル先生「月」三部作は、以下の3巻に分かれて刊行されています。
月からの使者が地球に来るところから始まる 導入編。
ここで、ドリトル先生が「月へ行くことになる理由」が描かれています。
中心・メインの冒険。
先生たちが月につき、そこで暮らす奇妙な生きものたちや、人々との交流・事件が描かれています。
月での冒険を終え、地球に戻る 帰還編。
月で起きた出来事がその後どのような影響を及ぼすのか、そして帰還後に何が起こるのかが描かれています。
シリーズを通して、さまざまな動物や生きものが登場しますが、この「月」三部作では虫が登場します。
巨大な甲虫を思わせる生き物、羽をひらめかせる不思議な虫型の月の生物、そして地球とはまったく異なる進化を遂げた、虫のような仲間たち・・・。
「こんな虫がいたらどうだろう?」「月の生き物はどんな能力をもっているのだろう?」と、虫好きの子どもの想像力を大きく広げてくれます。
ドリトル先生シリーズはいくつかの出版社から刊行されていますが、今回紹介した角川つばさ文庫版は「新訳」で、文体がやわらかく、言い回しもやさしいのが特長です。
古典作品ならではの味わいはそのままに、今の子どもにも伝わる語り口で再構成されており、現代の子どもたちの感覚に合った形で、よりスムーズに読み進めることができます。
虫好きの息子は、図鑑や生き物の生態を解説した本はよく読みますが、このようなファンタジー作品には、これまであまり手を伸ばしてきませんでした。
ですが、ドリトル先生シリーズには全体を通して多くの生きものが登場します。
そのため、息子のように生きものが好きな子どもであれば、ファンタジー作品にあまり親しみがなくても、きっと楽しめる作品だと思います。



購入する際に、いくつかの出版社の本を比べてみましたが、読みやすさという点では、角川つばさ文庫のドリトル先生シリーズがおすすめです。文体がやさしく、シーンごとに挿し絵も入っているため、物語の情景を思い浮かべながら読み進めることができます。
長く愛されてきた名作に触れてみたい子どもや、出会いや友情が描かれた物語の中で虫が登場する作品を読みたい子どもにおすすめです。
チョウはなぜ飛ぶか(高学年~)
- 著者:日高敏隆
- 出版社:岩波書店(岩波少年文庫)
- ふりがな:△(一部)
著者は幼い頃、「チョウはどうしていつも同じ道を飛ぶのだろう?」という疑問を抱いていました。
その問いを大人になっても持ち続け、観察を重ねながら、その理由をひとつひとつ丁寧に解き明かしていきます。
虫とりをしている子どもであれば、チョウが同じ道を飛ぶことに気づき、「なぜだろう?」と疑問を持ったことがある子も多いと思います。
しかし、その理由について考察し、くわしく説明した子ども向けの本は、ほとんどないのではないでしょうか。
文庫本で文字も小さいため、読書経験が少ない場合は少し抵抗を感じるかもしれませんが、小学校高学年くらいの子ども向けに、読みやすく書かれています。
興味のあるテーマや好きなジャンルであれば、ぜひ挑戦してほしい良書です。
本書の終盤には、著者・日高さんが小学校4年生から中学生頃までの体験を綴った短いエッセイも収められていますが、親の立場から読むと、特に心に残る内容でした。
戦時中という、今とは大きく異なる時代の話ではありますが、生き物が好きな同年代(小4〜中学生頃)の子どもであれば、自分自身と重ね合わせて共感できる部分が多いと思います。
“生きものと向き合う心”を育ててくれる一冊です。
世界でいちばん素敵な昆虫の教室(高学年~)
- 監修:須田研司(むさしの自然史研究会)
- 出版社:三才ブックス
- ふりがな:×
『世界でいちばん素敵な昆虫の教室』は、昆虫の世界を美しい写真とわかりやすい解説で紹介するビジュアルブックです。
国内の昆虫だけでなく、世界各地の昆虫が数多く登場します。
昆虫の体のつくりや季節ごとの行動、生態のふしぎなどを、子どもも大人も楽しみながら学べる内容になっています。
構成はQ&A形式で、「どうして昆虫は光るの?」「虫たちは冬をどうやって過ごすの?」など、子どもが日常的に抱く「なんで?」「どうして?」という疑問に、やさしく答えてくれます。
本文にはふりがながないため、小さな子どもが一人で読むには少し難しいかもしれませんが、色鮮やかな写真が多数使われており、写真を眺めるだけでも十分に楽しめます。
このように写真が豊富な本は、読書が得意でない子どもでも手に取りやすい点も魅力ですよね。
また、分厚い図鑑ほど構えずに、気になったページを少し読むといった使い方ができるのも、本書の良さだと思います。
「調べるための図鑑」というよりも、昆虫の世界に浸るための一冊、といった印象です。
世界の美しい虫の写真を見るのが好きな子ども、図鑑ほど細かな分類やデータは不要だけれど、「きれいな写真で学べる本がほしい」という子どもにおすすめの本です。
虫本(高学年~)
- 著者:養老孟司・小檜山賢二
- 出版社:クレヴィス
- ふりがな:×
『虫本』は、虫の写真集です。
養老孟司さんのあとがきにある「小檜山さんの作品に私の言葉を付け加えた、という内容です」という言葉のとおり、本書には小檜山賢二さんによる美しい虫の写真がふんだんに使われています。
そこに、ところどころ添えられた養老孟司さんの万人にわかりやすくやさしい文章が加わり、作品の大きな魅力となっています。
昆虫を通して「生きものを見るとはどういうことか」「自然とどう向き合うのか」について語られており、全体にどこか哲学的な雰囲気も感じられます。
虫の拡大写真は、肉眼では捉えきれない細部まで美しく写し出されており、どれも非常にインパクトがあります。
まさに、表紙にある「みて、かんじて、そしてかんがえよう」という言葉が内容を端的に表している一冊です。
実際に読んでみて、本書は万人受けするタイプの本ではないと感じました。(もっとも、虫の本全般がそうかもしれませんが。)
虫の拡大写真がとてもリアルなので、虫が怖かったり、ビジュアルが苦手な人は、そもそも手に取らない可能性が高いと思います。
一方で、虫が好きな人や興味のある人、あるいは虫が特別好きでなくても「美しい」「不思議」「おもしろい」と感じながら眺められる感性や広い視野を持った人には、深く刺さる一冊だと思います。
特に対象年齢が定められている本ではありませんが、ふりがながなく、考えながら読み進めることで面白さが増す内容のため、文章までしっかり理解する年齢としては、高学年〜中学生以上、大人向けかなと感じます。
ただし、写真を楽しむだけであれば、幼児や低学年の子どもでも十分に楽しめます。
マニアックな虫の写真が数多く掲載されているため、本書を渡した当時6歳だった息子も、喜んでページをめくって眺めていました。
昆虫図鑑とはまた違った、新しい自然観察の入り口としてもおすすめできる一冊です。
ダマして生きのびる虫の擬態(高学年~)
- 著者(写真・文):海野和男
- 出版社:草思社
- ふりがな:×
『ダマして生きのびる虫の擬態』は、虫たちの「擬態」に焦点を当てた一冊です。
昆虫写真家・海野和男さんが、長年のフィールドワークの中で捉えてきた擬態する虫たちを、美しい写真とともに紹介しています。
本物と見分けがつかないほど葉っぱにそっくりな虫、背景と一体化して見える虫、強い生き物に姿を似せて身を守る虫…。
ひと口に「擬態」と言っても、その方法は実にさまざまです。
あまりに巧みにできていて、その進化の過程を考えれば考えるほど、不思議さに引き込まれます。
本文ではふりがながほとんど使われておらず、擬態の仕組みや生態、進化についての解説をしっかり理解して読み込むとなると、高学年くらいからがおすすめかと思います。
ただ、息子は5歳の頃に本屋で「ほしい」とねだり、小学生になった現在まで楽しく読み続けてきました。
本格的で細部までくっきりと写る高精細な虫の写真が豊富に掲載されているため、内容を十分に理解できない年齢の子どもでも、息子のように写真集として楽しむことができます。
葉っぱの葉脈に溶け込む翅の模様や、木肌をまねた凹凸、アリやハチに見える微細な毛の質感まで伝わってくるほど、写真は非常に精密で、自然の息づかいさえ感じられる素晴らしいものばかりです。
「擬態」という少し難しいテーマではありますが、専門的な言葉には補足説明があり、全体として子どもにも理解しやすい文章で書かれています。
「ただ虫を探す」段階から一歩進んで、「どのように生きているのか」まで想像できる力が育つ点も、この本の大きな魅力です。
虫が大好きな子はもちろん、「自然の不思議に触れてみたい」と考えているご家庭にもおすすめしたい、発見と驚きに満ちた一冊です。
ドラえもん(低学年~)
- 著者:藤子・F・不二雄
- 出版社:小学館(てんとう虫コミックス)
- ふりがな:◯
最後に紹介するのは、てんとう虫コミックスから刊行されている『ドラえもん』です。
「え? なぜドラえもん?」と思われた方も多いかもしれませんが、『ドラえもん』には、虫が好きな子どもに響くエピソードがいくつも収められています。
息子はドラえもんが大好きで、てんとう虫コミックス版の『ドラえもん』を集めていました。
読んでいくうちに、生き物や自然にまつわるお話が意外と多く、虫に関連するエピソードもたびたび登場することに気づき、ぜひ紹介したいと思いました。
例えば、のび太が昔の自然へ出かけ、虫の鳴き声の美しさや、生きものを大切にする気持ちに気づくお話(第4巻「月の光と虫の声」)や、ひみつ道具を使って世界中の昆虫を集めるものの、集めすぎて困り、虫は自然の中で生きる存在だと気づくお話(第41巻「世界の昆虫を集めよう」)などがあります。
『ドラえもん』には、ほかにも宇宙や自然など、学校で学ぶ理科に通じるお話が数多く収められています(社会、算数、国語に関わる内容もあります)。
虫(理科)が好きな子どもの好奇心や探究心を刺激する作品が多く、個人的には「学習の土台となる思考力」を育ててくれる物語でもあると感じています。
理科が好きな子どもはもちろん、名作漫画を通して学習の基礎となる思考力を身につけたい方にもおすすめです。
てんとう虫コミックス『ドラえもん』は全45巻が刊行されており、さらに本編45巻に未収録の作品を集めた『ドラえもんプラス』が全7巻あります。
どの巻から読んでも楽しめますが、虫に関するお話が収められている巻を優先して購入したい場合は、以下の一覧を参考にしてみてください。



ひみつ道具が虫の形をしているだけで、物語の内容自体は自然や生き物と直接関係しないものも多いのですが、それでも虫好きの子どもには喜ばれると思い、一覧に含めています。
| タイトル | 収録巻 | 同巻収録作品 |
| ペコペコバッタ | 1 | 「未来の国からはるばると」「ランプのけむりオバケ」他 |
| 月の光と虫の声 | 4 | 「海底ハイキング」「おばあちゃんのおもいで」他 |
| カネバチはよく働く | 8 | 「ライター芝居」「人間製造機」他 |
| よかん虫 | 12 | 「ウラオモテックス」「大空中戦」他 |
| 無敵コンチュー丹 | 19 | 「ロボッターの反乱」「大雪山がやってきた」他 |
| 羽アリのゆくえ | 25 | 「な、なんと!! のび太が百点とった!!」「のび太の結婚前夜」他 |
| コンチュウ飛行機にのろう | 27 | 「恋するドラえもん」「のび太は世界にただ一匹」他 |
| 新種図鑑で有名になろう | 28 | 「しりとり変身カプセル」「地平線テープ」他 |
| シズメバチの巣 | 36 | 「きこりの泉」「タイムふしあな」他 |
| どっちがウソか!アワセール | 38 | 「冒険ゲームブック」「ドリームプレイヤー」他 |
| 世界の昆虫を集めよう | 41 | 「ぼくミニドラえもん」「無人島の大怪物」他 |
| 虫よせボード | 44 | 「恋するジャイアン」「ハワイがやってくる」他 |
| 自然観察プラモシリーズ | 45 | 「ガラパ星からきた男」「南海の大冒険」他 |
| ハチにたのめば何とかなるさ | +1 | 「グルメテーブルかけ」「ココロチョコ」他 |
| 虫の声を聞こう | +1 | |
| ゴキブリカバー | +3 | 「ウソ800」「あらかじめ日記」他 |
| 無視虫 | +5 | 「イイナリキャップ」「45年後・・・・・・」他 |
| ごきぶりふえ | +6 | 「にっくきあいつ」「ペタリ甲板」他 |
| 標本採集箱 | +6 |
なお、ドラえもんの映画には、昆虫そのものをテーマにした作品はないようです。
ただし、『ドラえもん のび太と奇跡の島 〜アニマル・アドベンチャー〜』(2012年)には、「幻のヘラクレス」が登場します。
もっとも、「幻のヘラクレス」は島の自然や生態系を象徴する存在として描かれており、物語の軸となっているわけではありません。作中では、動物たちが中心となって描かれています。
本作には、「生きものは利用・支配するものではなく、共に生きる存在である」というメッセージが込められており、生き物が好きな子どもにおすすめの映画です。また、コミック版も刊行されています。
作中に登場するヘラクレスオオカブトが物語に触れるきっかけになるのではないかと思い、あわせて紹介したいと思います。
映画の映像をそのまま漫画にした本
ドラえもんは学習漫画も充実しています。
昆虫そのものを漫画で学びたい場合は、以下の2冊もオススメです。
すべてふりがな付き。漫画だけでなく文章(文字は小さめ)のページもあります。
中学受験を考えている方にもオススメ
まとめ
今回は、わが家の虫好きな小学生が実際に読んできた本の中から、虫が登場する本をたくさん紹介しました。
何より、本は楽しく読むことが一番です。
自分の好きなものが登場する本を、ぜひ楽しんで読んでくださいね。





