幼稚園選びのとき、「この子、ちょっと他の子と違うけど大丈夫かな?」そんな不安を感じたことはありませんか。
好きなことがはっきりしていて、興味の対象が少し偏っている。
それ自体は悪いことではないと分かっていても、集団生活の中で浮いてしまわないか、否定されてしまわないか――
親としては、どうしても気になってしまいますよね。
幼稚園は小学校と違い、園ごとに方針や雰囲気の差が大きく、自由に選べる分、迷いやすいものです。
だからこそ、「できるだけ子どもが楽しく通えて、得意なことを大切にしてもらえる園を選びたい」と悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「うちの子、ちょっと変わっているかもしれない」そう感じていたわが家が、
- 虫が大好きで興味の偏りが強かった息子の幼稚園をどう選んだのか
- 説明会や見学(プレ)で何を見て、何に悩み、どんな基準で決めたのか
を具体的にまとめています。
なお、現在息子は小学生になりましたが、「幼稚園はとても楽しかった」と今でも話しています。
同じように悩んでいる方の、少しでもヒントになればうれしいです。

“ちょっと変わった子”の幼稚園選びで最初に感じた不安
幼稚園選びを考え始めたとき、真っ先に浮かんだのは「この子は、集団生活になじめるのだろうか?」という思いでした。
息子は、虫や生きものへの興味がとても強く、一度気になると、まわりが見えなくなることもある子どもでした。
家ではその姿を「この子らしさ」だと思えていても、幼稚園という集団の中では、浮いてしまったり、注意され続けたりしないだろうかと、親としては心配でした。
むしははそのことで自尊心を傷つけてしまわないか、という不安もありました。
また、「好きなことばかりしていて大丈夫なのか」「周りに合わせる力も身につけた方がいいのではないか」そんな気持ちが行ったり来たりすることもありました。
幼稚園選びで大切にした3つの視点
幼稚園選びを進める中で、「保護者受けのいい人気の園」を探すよりも、「この子に合うかどうか」を考えることのほうが、何より大切だと感じるようになりました。
そう感じるようになった背景には、私自身の幼稚園時代の経験があります。
私は、外あそびよりも家の中でぬり絵やおり紙をして過ごす方が好きな子どもでした。ところが通っていた幼稚園は、「子どもは風の子。外でたくさん遊ぶべき」という方針が強く、真冬でも外あそびが中心の生活でした。
その結果、私は外あそびそのものが苦手になってしまい、体調を崩したこともあって、幼稚園生活はあまり良い思い出として残っていません。
当時人気の園でしたが、私の個性とはミスマッチでした。
私の例は少し極端かもしれませんが、「息子が大人になって幼稚園時代を振り返ったとき、少しでも楽しい記憶として残っていてほしい」、そんな思いから、その子に合う園を選ぶことがいちばん大切なのではないかと考えるようになりました。
園の設備や評判、通いやすさなど気になる条件はいくつもありましたが、最終的に重視したのは、息子の“好き”や“得意”を園がどう受け止めてくれるか、そして息子がのびのびと過ごせると思えるかどうかでした。
ここでは、説明会や入園前のプレに実際に足を運び、わが家が幼稚園選びで特に大切にした3つの視点を紹介します。



なお、園の公式ホームページには方針や特色が掲載されていますが、実際に園を訪れてみると、文章から受ける印象とは違うと感じることも少なくありませんでした。
視点①好きなことを尊重してくれるか
幼稚園は、集団生活の中で基本的なルールを身につける場でもあります。
そのため、場にそぐわない行動を注意すること自体は必要だと思っています。
そのうえで、私が気になったのは、「注意の仕方」や「その子の“好き”への向き合い方」でした。
たとえば、虫の話をし続けてしまう子がいたとき。
頭ごなしに「やめなさい」と止めるのか、それとも、先生がその子の興味や気持ちを一度受け止めたうえで、「あとで聞かせてね」「今はみんなで○○しようね」と、場を整えているか。
小さい子どもは、まだ気持ちの切り替えが難しいものです。
興味のあることで頭がいっぱいのときに強く叱られると、行動そのものではなく、「好きなこと」を否定されたと感じてしまうこともあります。



その場にふさわしい行動かどうかは、成長とともに、年長頃までには少しずつ理解できるようになっていくと感じました。
また、できるだけその子が「好きなことに触れていられる時間」が多い環境かどうかという点も重視しました。
自分のやりたいことや興味の対象がはっきりしている息子には、あらかじめ活動内容や時間割がしっかり決まっている園よりも、個人のやりたいことを尊重してくれる園の方が合っているように感じました。
そのためわが家では、自由に過ごせる時間がきちんと確保されていながら、同時に、みんなで活動する時間(集団行動を経験できる時間)もある園を選びました。
視点②子どもを一人の存在として見ているか
幼稚園は集団生活の場である以上、「みんなで同じことをする」時間があるのは当然だと思っています。
一方で、同じ年齢、同じクラスでも、子どもの性格や興味、成長の個人差、得意・苦手は一人ひとり違います。
プレや園内での様子を見て、私が特に気になったのは、先生たちが子どもを「クラスの一員」としてだけ見ているのか、それとも「名前のある一人の子」として関わっているのかという点でした。
また、困った行動があったときにも、行動そのものだけでなく、その子の気持ちや状況に目を向けたうえで声をかけているのか。
こうした先生の関わり方から、園の考え方が見えてくるように感じました。



見学会や説明会だけでは分からないことも多いですが、
プレに通ってみると、まわりのお友達の困った行動に対する
先生の対応などは、意外とよく見えてきました。
「集団に合わせること」をゴールにするのではなく、その子なりのペースや特性を受け止めながら、長い目で成長を見守ってくれる園かどうかを大切にしました。
視点③家庭と園が同じ方向を向いているか
幼稚園生活は、園だけで完結するものではなく、家庭との連携も大切です。
私が重視したのは、園が「預かって終わり」ではなく、親と子どもの様子や成長を共有してくれるかでした。
たとえば、
- 園でどんな遊びに夢中になっているのか
- どんな場面でつまずきやすいのか
- 少しずつできるようになってきたこと
こうした小さな変化を、良いことも気になることも含めて、「一緒に考える姿勢」で伝えてくれるかを見ていました。
先生と保護者が対立する関係ではなく、「この子のことを一緒に見ていきましょう」というスタンスで関わってくれる園かどうかは、安心して子どもを預けられるかどうかに直結すると感じました。
実際に息子が通っていた園は、私自身、先生に心配事などを相談する中でいろいろと支えてもらったことも多く、感謝の気持ちでいっぱいです。
振り返ってみると、先生と保護者のコミュニケーションのとりやすさや関係性の良し悪しは、3年間通う中で、親のメンタル面においても意外と重要だったと感じています。
先生が保護者と話しやすい雰囲気かどうかは、見学やプレの中で、先生と子どもとの関わり方や園全体の空気感から、なんとなく伝わってくる部分もあるように感じました。
「先生自身が、子どもを楽しそうに見ているか」「園全体にのんびりとした余裕やあたたかさを感じるか」といった点も、ひとつの判断材料になるかもしれません。



幼稚園とひとことで言っても、先生との距離感や園全体の空気感は、本当にさまざまでした。
見学・説明会・プレで感じた、園ごとの“空気感”
実際に見学や説明会、プレに参加してみると、良くも悪くも、文章だけではわからなかった「園や先生の雰囲気」や「実際の様子」を感じることができました。
説明会では、先生の話し方や、保護者からの質問に対する受け答えに注目していました。
一方的に説明するだけなのか、それとも親の話にも耳を傾け、共感しようとしてくれる姿勢があるのか。
その対応から、園と家庭の距離感がなんとなく伝わってくるように感じました。
また、連絡の取り方も園によってさまざまでした。
連絡事項を早めに書面で丁寧に伝えてくれる園もあれば、比較的ギリギリになって口頭のみで伝えられる園もあり、そうした伝え方が自分の感覚に合っているかどうかも、ひとつの判断材料になりました。
プレや園内見学では、子どもたちが自由時間にどんな遊びをしているのか、そして、困っている子や少し集団から離れている子に対して、先生がどのように関わっているのかをよく見ていました。
すぐに声を荒げることなく、子どもの目線にしゃがんで話していたり、さりげなくフォローに入っていたり。
そうした何気ないやり取りの積み重ねから、「この園では、子ども一人ひとりをどう見ているのか」が垣間見える気がしました。
見学や説明会では見えにくい部分もありますが、プレに通ってみると、先生と子ども、先生同士のやり取りなど、園全体の雰囲気をよりリアルに感じることができました。
ほかの園と重複してプレに通うことを禁止している園もありますが、もし時間が取れるのであれば、できるだけ実際に通ってみると安心かもしれません。



わが家はプレには2か所通い、そのほかの園については、園庭開放や遊び場として開放されている時間に、息子と一緒に遊びに行き、先生や園の様子をさりげなく見ていました。
息子が通う園の最終的な決め手になったのは、特別な設備やプログラムではありませんでした。
先生たちが子どもと楽しそうに関わっていること、園に木々が植えられ、虫取り網や虫メガネが用意されていて、生き生きとした表情で虫取りをしている園児が多かったこと。
そして何より、「この幼稚園がいい」という息子の言葉と、「ここなら、息子が自分らしく過ごせそうだな」と私自身が素直に思えたことでした。
入園後に感じたこと
よく見て決めたつもりではありましたが、それでも「本当にこの園で大丈夫かな」「息子は楽しく通えるだろうか」、そんな不安が、正直まったくなかったわけではありませんでした。けれど、通い始めると、不安は少しずつ安心に変わっていきました。
毎朝、息子は嫌がることなく園に向かい、帰ってくると、その日あった出来事を楽しそうに話してくれました。虫の話、友達の話、先生の話――どれも、息子にとって園で過ごす時間が「自分らしくいられる時間」だったことを感じさせるものでした。
虫の名前をよく知っている息子は、先生やクラスのお友達から「虫博士」と呼ばれることも多く、その得意分野が、少しずつ自信につながっていきました。
息子は、興味のあることはとことん掘り下げる一方で、人よりできないことも少なくありません。
それでも、好きなことを大切にしながらのびのびと過ごさせてもらえたことで、「できないことがあっても大丈夫」「まずはやってみよう」、そんな前向きな気持ちを育てていくことができたように思います。
それは、息子自身の力であると同時に、園の環境や、先生方の関わりがあったからこそだと、今では感じています。
これから園選びをする方へ
これから園選びをする方に、「この園が正解です」と言える答えは、きっとありません。
園にはそれぞれ方針や雰囲気があり、どの園が合うかは、子どもの性格や家庭の考え方によって本当にさまざまだと感じています。
だからこそ大切なのは、パンフレットの言葉や評判、口コミサイトの書き込みだけで判断するのではなく、実際に足を運び、自分の目で園の様子を見て、プレでの子どもの姿を感じながら、「ここなら、この子が無理をせずに過ごせそうだな」と親自身が納得できるかどうかだと思います。
見学や説明会、プレで感じた園の空気感や、先生と子どもとの何気ないやり取りは、後から振り返ってみると、意外とそのままの姿だったと感じることも多かったです。
どれだけ悩んで選んでも、不安がまったくなくなることはないかもしれません。
それでも、時間をかけて考え、選んだ経験は、入園後に迷ったときや悩んだとき、「自分たちはよく見て、よく考えて決めた」という親自身の支えになってくれると思います。
幼稚園選びをする頃は2~3歳で、手がかかる時期でもあります。時間や場所が決まった外出は大変でしたが、それでも足を運んでよかったと感じています。
園選びが、子どもにとっても親にとっても、少しでも安心につながる時間になりますように。






