私は虫が苦手です。
それでも、4年ほど前、息子の熱意に負けて、初めてアゲハ蝶の幼虫を飼うことになりました。
それから今日まで、何度もアゲハ蝶の幼虫を羽化まで育てることに成功しています。
むしはは虫が苦手でも、責任を持って育ててきました。今では、触ることもできるようになりました。


今回は、虫が苦手な母でも、子育てや家事の負担をなるべく少なくしながら育てられる方法を試行錯誤の末に見つけましたので、その飼い方をご紹介します。
わが家の金柑やサンショウの木に産み付けられた卵からかえった幼虫を、虫に詳しくない方にもわかるように、どう育てているのかお伝えします。
- アゲハ蝶の幼虫の飼い方を知りたい
- 子どもが蝶の羽化まで観察したいと言っているけれど、サポートできる自信がない
そんな方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
ここから下には幼虫の写真を載せています。虫が苦手な方はご注意ください。
初めての幼虫探し〜金柑とサンショウの木を迎えるまで〜
飛んでいるアゲハ蝶はよく見かけますよね。
でも、幼虫はあまり見かけない気がしませんか?
ある日、息子に「アゲハ蝶の幼虫を飼いたい」と懇願され、親子で公園の茂みを一生懸命探しました。
しかし、残念ながら幼虫を見つけることはできませんでした。
帰宅後、図鑑を見てやっと理由がわかりました。
ナミアゲハの幼虫は、サンショウやミカン科の木の葉っぱしか食べないのです。
さらに、アゲハ蝶だけでなく、ほとんどの虫には「食べる葉っぱ(食草)」が決まっていることを、このとき初めて知りました。
やみくもに探せば見つかるわけではなかったんですね!
でも、植物に詳しくない私は、公園でミカン科やサンショウの木を見つけられる自信がありませんでした。
しばらくどうしようか悩みましたが、アゲハの幼虫を育てる経験は息子の成長にもつながるし、何より息子の願いを叶えてあげたい…という思いがありました。
そこで、アゲハ蝶が卵を産む木(食草)を求めて園芸店へ足を運ぶことにしました。
園芸店では、アゲハ蝶の中でももっともポピュラーなナミアゲハの食草である金柑の木を見つけ、買って帰りました。
さらに後日、ナミアゲハの食草であるサンショウの小さな苗木も、スーパーで見つけて購入しました。
こうして、わが家に金柑とサンショウの木を迎え、アゲハ蝶のお母さんが卵を産んでくれるのを静かに待つことにしました。
幼虫の誕生・小さな1齢幼虫
ナミアゲハのお母さんは、食草にしか卵を産みません。
ある日、葉っぱの上に1mmほどの小さな黄色い卵を見つけました。


すると、4~5日後にはナミアゲハの幼虫がかえってきました。


よく目をこらさないとわからないくらい小さいです。
産まれたばかりの幼虫は、葉っぱをムシャムシャ食べながら、少しずつ大きくなっていきました。
脱皮を重ねて成長する2~4齢幼虫
幼虫は数日ごとに脱皮を繰り返しながら、少しずつ大きく成長していきます。


昆虫は、初めての脱皮の後を「2齢幼虫」、次の脱皮の後を「3齢幼虫」と呼びます。
ナミアゲハの幼虫は、4齢までは黒と白の色をしています。


この写真の幼虫は、おそらく3齢くらいのころだったと思います。
大きくなった終齢幼虫
4齢幼虫が脱皮を終え、終齢幼虫になりました。体の色は鮮やかな緑色に変わります。


このころの幼虫は食欲旺盛で、とにかくよく食べます。
えさがなくなってしまわないように、こまめに気をつけてあげる必要があります。
幼虫からサナギへ
終齢幼虫になってから1週間ほど経つと、サナギになる準備が始まります。
羽化を観察したい場合は、この段階になる前に、枝ごと家の飼育ケースなどに移しておく必要があります。
幼虫はサナギになる場所を求めて、うろうろ歩き回ります。
けっこうな距離を歩くため、この段階で外にいた幼虫は、これまで全員行方不明になってしまいました。
そのため、羽化の観察をしたい場合は、幼虫が行方不明になる前に室内で飼う必要があります。
目安は、終齢幼虫になってから1週間ほど経ち、体が十分に大きく育ったころです。
幼虫が緩い糞をするのは、サナギになる合図です。
ケースは動かさず、静かに見守ります。


やがて、幼虫は口から糸を吐き、体を枝に固定して前蛹(ぜんよう)になります。体が少し縮むのが特徴です。
前蛹になった1~2日後には、サナギへと変身します。


こちらは2ℓのペットボトルを利用した飼育ケースです。(様子が見えにくく、すみません)
ペットボトルの上部を少しカットし、排水溝ネットを被せて輪ゴムで止めています。
市販の飼育ケースは洗うのが面倒ですが、ペットボトルのケースは使い捨てできるので、とても楽です。



虫が苦手な私でも、できるだけ無理なく行える方法でした。
ペットボトルを利用した虫かごは、下の記事を参考に作ってみてくださいね。
羽化!美しいナミアゲハの誕生
暖かい季節であれば、室内で過ごしたサナギは、約10日ほどで羽化していました。
寒くなってくると、蛹の状態で冬を越すことになります。
羽の黒っぽい色が透けて見えてくると、そろそろ羽化する合図です。
ペットボトルの飼育ケースでサナギになったあとは、広めの段ボール箱や、メッシュ素材でできた大きめの昆虫観察用ケースなどに移し、羽化の様子を観察します。


写真は、さなぎから出た直後のナミアゲハの成虫ですが、しばらくは羽が縮んだ状態です。
約2時間ほど経つと、羽が完全に広がり、美しいナミアゲハの姿になります。
その後は、自らの力で飛び立っていきます。


ナミアゲハの幼虫を外で育てるメリットと注意点
このように、わが家ではナミアゲハの幼虫を、基本的に外でほったらかしで育てています。
触らなくて良い点が、虫が苦手な私にとって、ナミアゲハの幼虫を外で飼う最大のメリットでした。
また、子育てや家事にできるだけ負担をかけないという点でも、「掃除」や「餌の交換・管理」が不要な外での飼育は非常におすすめです。
ナミアゲハの幼虫はよく食べ、大量の糞をします。
室内の飼育ケースで飼うと掃除がどうしても面倒になりますが、外で飼えば糞は土の上に落ちるだけなので、掃除の必要はありません。
さらに、室内では餌の葉っぱを枝ごと切って与える必要があります。
初めのうちは問題ありませんが、日が経つと葉が乾燥して使えなくなり、捨てざるを得なくなってしまいます。
少量ずつ毎日新鮮な葉をあたえるとなると、餌の交換が大変です。
庭に植えた木(鉢植えでも可)でそのまま幼虫を飼うと、常に新鮮な餌を与えられるため、とても楽に育てられます。
ただし、ひとつだけ注意点があります。それは寄生虫です。
ナミアゲハの幼虫には、寄生するハチやハエが存在します。
対策としては、木にネットをかけておくことくらいでしょう。
寄生虫が心配で、最初から室内で飼ったこともありますが、わが家ではうまく育ちませんでした。
大きく育たなかったり、サナギにならなかったりと、どうがんばっても室内育ちの幼虫は、外で育った幼虫の食欲や大きさにはかないませんでした。
こうした理由から、わが家では現在、できるだけ自然に近い環境で育てる方法に落ち着いています。
【以下、2024年5月追記】
はじめて寄生虫に寄生されてしまいました。
幼虫は順調に大きく育ち、サナギになり、蝶が出てくるのを親子で楽しみにしていました。
しかし、サナギから出てきたのはアゲハ蝶ではなく、寄生虫でした。
この寄生虫についても記事にまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください。


親子で楽しむアゲハ蝶観察のすすめ
幼児だと、まだ一人でお世話することは難しく、どうしても親が手伝う必要があります。
ここでご紹介した方法は「できるだけ楽に育てる方法」ですが、「羽化を観察するために室内に入れるのは抵抗がある」という方もいらっしゃるかもしれません。
虫が苦手な方にとっては、近くに幼虫やサナギがいるだけでゾワゾワしてしまうものです。
しかし、少しがんばって親が我慢してみると、「我慢したかいがあったな」と思えるくらい、素敵な瞬間があります。
観察している間は子どもが静かにしてくれるので助かりますし、何より子どもがとても楽しそうにしてくれるのです。
アゲハ蝶の観察体験は、子どもにとって小さいころの楽しい思い出として残ります。
さらに、小学校以降の理科の授業でも、この経験の有無で理解度がずいぶん変わってくるはずです。
もし家族の中に虫が得意な人がいれば、ぜひ積極的に手伝ってもらってください。
幼虫から美しいアゲハ蝶に羽化する瞬間は、何度見ても感動します。
きっと家族の素敵な思い出の1ページになることでしょう。
[参考文献]
- 小池啓一・小野展嗣・町田龍一郎・田辺力(2020)『小学館の図鑑NEO 昆虫』小学館
- 阪口浩平・宮武頼夫 他(1983)『むし くらしとかいかた』ひかりのくに






